ハーバード卒業から10年経った今もしやり直せるのなら自分はこうする

学生時代は「いかに良い成績で卒業できるか」という考えで頭がいっぱいだった。自分は高校時代からいわゆる「超優等生」。成績はオールAで高校は首席で卒業。その自然の流れから大学に進学した後も同じ考えでいた。

「とりあえず、良い成績で卒業しないと。」

ハーバードでは評判が良い授業や著名教授の授業を中心に受けた。クラブ活動も普通程度に行っていた。最初の2年間はボート部でオリンピック選手になったチームメイトと一緒に特訓。手がボロボロになり、高校時代から体力系のクラブ活動中心の緊張感から解放されたいという気持ちもあり、2年後、辞めた。その後はボストンマラソンに参加したり、寮対抗のチームに所属して普通に過ごしていた。

今、大学を卒業してから10年以上経つ中、「超優等生」として過ごした学生時代はすごく自分っぽい過ごし方だったんだなと思う。宿題をタイムリーに提出し、期末テストのために朝6時から夕方5時まで図書館にこもった。テストがない時はチャールズ川付近でボートやランニングを楽しんだ。所謂”NERD”生活。

ただ、「もしやり直せるのであれば」ということが一つある:もっと世界にどういう“職業”があるのか積極的に自分で動いて体験してみるということ。

自営業の父と専業主婦の母のもとで育った。ぼんやりと自分はビジネスをしたいという考えだけはもっていた。経済学を専攻として選んだ理由は簡単で、ビジネス=”経済学”だろうというかなり単純な考えから。(余談になるが、実際、専攻してわかったことは経済学というものは物事を「判断」するツールの一つであることで、ビジネスパーソンには重要なシンキングツールだが具体的なビジネスノウハウを蓄えるツールではないということ。)

中国語もビジネスレベルまで勉強し、10週間北京へ短期留学に踏み切った理由も将来的に中国でビジネスをする可能性を広げるためだった。学生時代の私にはそこまでの視界はあったみたいだが、考え方は限定的で、ビジネス=経済学、ビジネス=中国。

あまりにもシンプルすぎるだろ、と今となって自分につっこみたい。

2007年、リーマンショック直前の就職活動だった。

その時代は投資銀行がまだ一番「かっこいい」職業だった。周りの友人も同じだった。投資銀行、資産運用、コンサル、大学院。これらがハーバード卒業後の選択肢だった。今のIT企業が昔の投資銀行みたいな感じだと思う。この頃はまだフェイスブックやIT会社に直接就職する学生は少なかった。日本だと商社、銀行、メーカー、広告代理店だろうか。

卒業生が大学に戻りリクルーティングチームの一員となって、カッコいい光沢のあるスーツやハイヒールを履きこなす姿に圧倒された。甘めのカクテルやグルメ料理に囲まれながら自分の中で描いていた「ビジネスパーソン」の象徴を目の前にし、自分の近い将来の姿を描いた。

業務がどういうものかという詳細はほとんど無視し、「かっこいい」「希少価値」だけを求めて企業説明会に出席していた。

私は結局投資銀行に新卒で入社した。それには一切の悔いもない。その理由はまた別の記事で説明する予定。

一方、学生時代にまた別の「世界」をみていたならどうなってただろう、とふと思うことはある。世界旅行に行けと言っているわけではない。

アーティストはどうやって生活しているのか。自分の知らないアンダーグラウンドの世界をのぞいてみる。スーツ族が属しない社会のエコシステムはどう機能しているのか。農家の1日の過ごし方を体験してみたり、移民・マイノリティの生活はいかなるものか。発展途上国の人々の暮らしはどう機能しているのか。ボランティアワークを積極的に行うのも良いが、大学の枠を超えたところでできればより自分にとって実りのある体験になると思う。

自分はボランティアもしていたし、インターンシップも行なった。でもそれは「優等生」のままの自分を捨てきれずだった。大学経由での勧誘に限定され、友達と一緒に決めたりした。自分の好奇心で動いたことはなかったのではないか。

大学での経験は社会人になった数年後に活きてくると思う。多様性を受け入れる広いマインド。物事を決める時に一つの軸だけに頼るのではなく、複数の視点で考えられる。大企業に就職したとしても、そのマイクロコズムだけで生きるかそうでないかは自分の世界の広がりが全く違う。キャリアチェンジ考えた時も、大学時代に見えた世界を思い出せるだろう。その時感じた衝撃と感覚にありがたみを感じると思う。

大学時代は優等生でいる必要はない。好奇心だけで過ごしてもいいんじゃないか。

大学生だと大抵の大人は耳を貸してくれる。「大人」になって今わかる。積極的に周りの大人、大学と全く関係無い大人たちにリーチアウトしてみることはどうだろう。その繋がりが大学を卒業しても自分を後押ししてくれるはず。

自分なりのレンズとイニシチアティブで世界を観てほしい。「優等生」「他人目線」主義である必要は全くない。学生時代は特別な時間だ。社会人になり自分の生活や家族を養うプレッシャーや、周りの期待値が重石になる前に自分で自分の世界を作っていける限定期間。

膨大な可能性とゆるぎない自由を感じて、次に進んで欲しいと思う。