全ての働く女性がGlass Cliff(ガラスの崖)の存在を知っておくべき理由

「ガラスの崖」と一言聞くと、滑り落ちそうで絶対行きたくない場所に聞こえる。私も初めてこの言葉を耳にした時「天井なんかよりも崖の方が断然怖いな」と思った。
「ガラスの天井」を耳にすることは多い。女性のキャリアアップを拒む社会現象のことを示す、ジェンダーの話をするときによく引用されている。
一方で、「ガラスの崖」の認知度はそこまで高くないだろう。個人的には、この比較的新しいコンセプトである「崖」は「天井」より今の時代を生き抜くキャリア志向の女性が認識しておくべきコンセプトだと考えている。
なので、今回はこの「崖」について。

2018年現在において、Fortune500カンパニー(全米売上上位500社)の女性CEOは27名のみで、全体の5%にも満たない。これが「ガラスの天井」が存在することを裏付ける。一方で「ガラスの崖」は「ガラスの天井」の様に割合で示すことが困難、且つ複雑である。

「ガラスの崖」はイギリスの社会・組織心理学の教授ミシェル・ライアン氏らによって2004年に発表された。イギリスの上場企業を分析した結果、「女性がCEO・幹部ポジションやリーダーシップポジションに抜擢される場合、会社が危機や困難に直面している時の確率が男性より高い。結果、女性が抜擢された役割で失敗する確率が高くなる」という現象が見受けられたのである。
女性がCEOを務める上場会社は「物言う投資家」の対象になり、解雇される確率が男性より高いという研究結果も出ている。しかしこの「崖」の因果関係についてはまだ全てが解明されていない。業績不振に陥った会社が事業再生のため今までとはまったく違うリーダーを必要とし、結果的に女性をCEOとして採用した可能性もある。あるいは、女性側の勉強不足が理由かもしれない。例えば抜擢された役割や会社について十分な下調べをせず与えられた役割に飛びついてしまうとか。原因はともかく、この「崖」の現象が存在すること自体、女性プロフェッショナルとして知っておくべきことだろう。
重要なのはこの現象はCEOや幹部レベルの女性だけに言えることではないということ。
CEOや幹部レベルでなくとも、新しい仕事を任せられることは日々あるだろう。異動を言い渡されたり新しい役割に抜擢される機会は社会人をやっている限り全く無い話ではない。今後、そのような事が貴方の身に起きた時に、この「ガラスの崖」について思い出して欲しい。そして、その時に自問自答して欲しい:

  • なぜ、自分が選ばれたのか。自分のどの能力やスキルが評価されたのか。
  • 誰が自分のスポンサー(社内で推薦してくれた上司)だったのか。引き受けた場合、周りにサポートしてくれる人はチームはいるか。
  • 他に誰が候補として挙がっていたのか。自分は他の人が引き受けたくない役割を押し付けられてないか。
  • この役割・タスクを無事終えた先には何があるのか。それは自分が描いている将来のビジョンにマッチするか。

勿論、与えられた機会にはオープン・マインドで挑んで欲しい。
自分の能力を信じて欲しい。
困難な状況を引き受けるチャレンジ精神は絶対に失って欲しくない。


「ガラスの崖」を経験している女性は少なくはない。周りにも沢山いるだろう。

難しいクライアントチームのリーダーに抜擢された時、
多忙期に社内イベントの幹事に選ばれた時、
リスクが高い新規事業立ち上げの話が挙がった時。

重要なのは「ガラスの崖」がその先にあるかどうかではない。
「ガラスの崖」が「ガラスの罠」であったとしても、
失敗するかしないかなんてやってみないとわからないし、
崖を恐れて新たなチャレンジに取り組まない方がリスクだと個人的には考える。

結局重要なのは、
それを飛び越える自信と能力は自分にあるか、
一緒に崖を飛び越えてくれるチームがいるか、
万が一、崖にまっさかさまに落ちたとしてもよじ登る自分が見えるか。
 

私だからできる。私がやってみせる。その気持ちで挑んで欲しい。

P.S. 
実際、「ガラスの崖」(Glass Cliff)を経験したエレン・パオ(Reddi社のt元CEO)やキャロル・バーツ(Yahoo元CEO)のインタビューがFREAKONOMICSラジオで聴けるので、時間があれば是非聴いて欲しい。