愛のことば

私の旦那は口数の少ない人だ。

私から言わないと愛情表現は少なく、仕事以外の悩みは基本的に一人で抱えるタイプだ。(仕事に関しては、旦那は同僚でもあるため、二人で解決しなければならないことが多い。)心配事や気持ちを打ち明けてくれない、つつかないと何を考えているのかわからない。これらは表現と表情が豊かな私にとってたまに悩みの種になっていた。

「円満な結婚生活のカギはコミュニケーションだ」というアドバイスは売り返したいほどいただいた。しかしそれを頭で理解するのと日ごろから実践するのは高さの違うハードルだ。

アメリカで人気の心理学クイズで自分の「Love Language」(愛情言語)を定めるものがある。これによると、愛情表現は言葉だけでなく、スキンシップやプレゼントをもらうなど、「されて愛情が伝わる行動」パターンがあるとのこと。そして人にはそれぞれ最も好む愛情表現のタイプがあるのだとか。

私は大学生のころに遊びでそのクイズを受けたが、「共に時間を過ごすこと」と「言葉による愛情表現」が上位の結果だった。あたり前な結果だと思い、あまり気に留めなかった。しかし最近になってこのクイズのことを思い出し、旦那にも受けてもらった。少し渋りながらも、2日にかけてようやくクイズを受け終えた旦那の結果に私は驚いた。

それは、「Acts of Service」と「共に時間を過ごすこと」だった。

確かに、私たちの馴初めから今までを振り返ると「共に時間を過ごすこと」で愛情を表現してきたことに違いはない。本当に出会ったときから常に一緒にいるのだ。共に住み、共に通勤し、共に働き、何から何まで一緒にいるのだ。周りの人にはびっくりされるが、飽きないし、疲れることもない。

しかしお互いの結果に異なるものもあった。私はやはり口に出して気持ちを伝えられるのが嬉しい。アメリカ育ちなだけに、ダイレクトなコミュニケーションを好むのだ。

それに対し、旦那の最上位の結果は「Acts of Service」だった。直訳は難しいが要するに相手が抱えている問題の解決や負担の軽減に「貢献すること」だ。簡単な例を挙げると、相手が疲れているときに家事を少し多めにしてあげる、などだ。

基本的に「用事・家事リスト」は平等に分けているが、私はどうしても家事が苦手だ。料理は交互に担当するが、皿洗いは逃げ切れるものならそうする。車のメンテナンス関係はすべて任せている。バスタブの排水管から(主に私の)髪の毛をほじくりだすのは永遠に旦那の役目だ。私ももちろん家の周りのことはするが、旦那は私が一番苦手な家事を敢えて何も言わずに受け持ってくれる。

そこで Love Language クイズを思い出した。結果は「されてうれしい愛情表現の行動」を示すのだが、裏を返せばそれはおそらくその人にとって一番身近な表現の仕方でもあるのでは?

私は旦那に “I love you” と毎日のように言う。言われると言い返しはするが、彼が自分から言うことはほぼない。それに不安を抱いたこともあったが、今になってやっとわかったのだ。これは language の問題だ。

旦那は「言葉による愛情表現」ではなく「貢献すること」で気持ちをいつも表してくれていたのだ。もちろん、これは無言で勝手に解釈したのではなく、実際にそうなのか聞いて確認した。

その後も、やはり旦那は自分から言葉で気持ちを表すことは少ない。でも行動を見て分かるようになった。ゴミ出し=愛。猫の糞の始末=愛。4日前の残り物の残飯処理=愛。

そして私も言葉だけでなく、彼の love language で気持ちを表すよう心掛けている。トイレ掃除=愛。結婚してからややこしくなった確定申告書を記入する=愛。長電話で有名な親戚との会話をほぼ一人で受ける=愛。

些細なことばかりかもしれないが、これが私たちの毎日の愛のことば。